
1 幻の酒米、山田穂とは?
兵庫県が大正時代に在来品種である山田穂を純系淘汰することにより得られた品種で、正式には新山田穂1号が正式名です。昭和11年まで酒造好適米として兵庫県で広く栽培されていました。酒米の王者と言われる山田錦は、この山田穂を母親として大正12年に兵庫県で人工交配された品種です。
2 山田穂復活の目的
| 白鶴は「米・水・人が原点です。」を企業スローガンに掲げ企業活動を行っています。酒米についての研究もその一環で、山田穂の復活に取り組んだのも「最高の酒米とは何か?」の観点から、現在最高の酒米と言われる山田錦の系譜をたどったものです。将来的には、新しい分析技術や育種技術の応用により、山田穂から山田錦へ受け継がれた優良な酒米としての遺伝特性を明らかにし、山田錦を超える超酒造好適米の開発を目指しています。 | ![]() |
3 山田穂の由来について
山田穂の由来については、どれが正しいのかはっきりしていませんが、3つの伝承があります。
1)美嚢郡吉川町では、田中新三郎が伊勢参りの際、伊勢山田で見つけた穂を持ち帰って試作したのに始まったといわれています。
2)神戸市北区山田町藍那では、雌垣村(現大阪府茨木市)で手に入れた種が良質の酒米に育ち、明治23年の国内勧業博で日本一の折り紙がついたことから、地名を取って山田穂と呼ばれたと伝えられています。
3)多可郡中町では、同町東町安田の豪農、山田勢三郎が明治10年ごろ、自作田で見つけた大きな穂を近隣地にも奨励し、俵に「山田穂」の焼き印を押して出荷したことから知れ渡ったといわれています。
4 山田穂と山田錦の違い
1)山田穂の栽培時期は、山田錦と同様の晩生の品種です。
2)草丈は山田穂が約10cm高く、倒伏の心配がありましたが、茎が非常に硬いため倒伏率は山田錦とほぼ同じでした。
3)山田穂の白米を山田錦と比較すると、粒はやや小さく、心白率も低いが、米の吸水性や消化性は山田錦と同等に良く、脂肪分についてはより少ないという良好な分析結果が得られています。
5 酒米の王者、山田錦とは?
1)酒米としての品質基準において、最高の成績を修めていることから「最高の酒米」あるいは「酒米の王者」といわれています。また、実際に大吟醸酒を造った場合、素晴らしい酒が出来上がります。ちなみに最近の全国新酒鑑評会への出品酒ではほとんどが原料米として山田錦を使用しています。山田錦の特徴は、大粒の心白米であること、たんぱくの含量が少ないこと、吸水性、消化性が良く良質の麹ができること、50%以下の高度精白に耐えるといったことがあげられます。
2)山田錦は、兵庫県で主として栽培されています(作付け面積4,414ha、全国の90%:平成7年)。昔から米の品質には、その土地の気候風土が大きく影響しているといわれています。六甲山脈の北側に広がる山田錦の生産地では、気温差の大きい気候や、粘土質の土壌といった山田錦を栽培するのに適した条件が揃っています。日本一の酒どころ灘をかかえる兵庫県は、酒米の生産量でも日本一なのです。
6 なぜ山田穂が姿を消したのか?
正確に姿を消した理由はわかりませんが、栽培結果から以下の理由が考えられます。
1)大粒、高心白発現率、その他の成分でも山田錦は親をしのぐ品種であり、親の山田穂が淘汰されたのは自然の摂理である。
2)山田穂は山田錦よりさらに約10cm草丈が高いため倒れやすく、非常に栽培が難しかった。(刈り取りの難しさの方が本当の理由かもしれません。)
3)山田穂の収率は平均で10aあたり約420kgに対し、山田錦の収率は約450kgであり、収量面で山田穂が劣った。
7 山田穂を見たことがありますか?
![]() 山田穂の圃場 |
![]() 他品種より背丈が高い山田穂 |
8 山田穂の科学
a) 山田錦を中心とした系譜図
山田錦を中心とした酒米の系譜図を示しています。白鶴が復活させた「山田穂」の正式名は「新山田穂1号」といい、農林水産省農業生物資源研究所の植物遺伝資源としての登録名です。記録によると「新山田穂1号」は在来種の「山田穂」を純系淘汰した品種であり、同じ品種と考えられています。白鶴では現在、遺伝子の解析をおこない「新山田穂1号」と「山田錦」の親子関係を検証しています。

| b)各酒米品種のアミロースと粗タンパク含量 酒米の特徴を最もよく表す成分である“アミロース含量”や“粗タンパク含量”を分析した結果を示しています。山田穂(新山田穂1号)は、山田錦、雄町などとともに酒米品種中では高アミロース・低タンパク米グループに位置することがわかります。山田穂(新山田穂1 号)は中粒種ですが、米粒の諸性質は山田錦に近い傾向を示しており、これらの類似性は山田錦が山田穂から受け継いだ優良形質の一端を示しています。 |
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※白鶴では、今後も最新の研究結果を情報発信していきます。






