はじめての日本酒なら「大吟醸」がおすすめ!
選び方、飲み方、楽しみ方をご紹介

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執筆:日本酒ライター 関 友美

日本酒はフルーティなもの、スッキリ淡麗なもの、甘口のものなど、種類やメーカーによって幅広い味わいのものが存在します。知れば奥深くて楽しい世界ですが、これから挑戦してみたい! というはじめての方にとっては難しく、「種類が多くて何を選んでいいかわからない」「どこで買ったらいいの?」と戸惑ってしまうものです。まずは日本酒の基礎知識を把握し、簡単な選び方を覚えておきましょう。

ひとくちに「日本酒」といってもたくさんの種類があります。まずは種類の大区分として、「特定名称酒」か「普通酒」に分けることができます。ボトル裏面の商品情報を見て、「米」「米麹」「醸造アルコール」以外の原材料が入っていたら「普通酒」です。はじめての方には、「米」「米麹」「醸造アルコール」だけを使って造られた「特定名称酒」をおすすめします。

精米歩合\原材料 米と米麹だけ +醸造アルコール +その他(酸味料、糖類など)
50%以下 純米大吟醸 大吟醸 普通酒
60%以下 純米吟醸 吟醸
70%以下 純米 本醸造
71%以上 普通酒

「特定名称酒」には、米と米麹だけ使用した「純米酒」と、「醸造アルコール」を使用したお酒とが存在し、さらに、精米歩合によって呼び方が変わってきます。

特定名称酒の種類
「純米酒」は、「米」「米麹」だけで造ったお酒のことを指します。「純米吟醸」はそのなかでも精米歩合60%以下のもの、「純米大吟醸」は精米歩合50%以下のものです。

「米」「米麹」「醸造アルコール」で造られたお酒のうち精米歩合70%以下のものは「本醸造」、60%以下のものは「吟醸」、50%以下のものは「大吟醸」です。

今回おすすめする「大吟醸」は、「米」「米麹」「醸造アルコール」から造られる精米歩合50%以下のお酒、ということになります。

精米歩合とは、原材料となるお米をどれだけ磨いたかを表す数値のことです。たとえば『精米歩合40%』なら、玄米である100%から60%分を磨いて40%だけ残っている状態を指します。酒造り用のお米の多くは、食用米とは異なる専用精米機で丁寧に磨かれます。原料米を磨く理由は、米の外側にたんぱく質や脂肪など酒の雑味の原因になる成分が多く含まれているため。お酒のコンセプトやメーカーの方針によっては、わざとあまり磨かない米を使うケースもありますが、日本酒初心者には米を磨いたきれいで透明感ある味わいのお酒がおすすめです。

原料米を磨くとき、一気に小さくしようと負荷をかけると摩擦熱が発生して割れやすくなります。そのため、できるだけ割れないよう長い時間をかけて周りを磨いていきます。つまり、精米歩合が低ければ低いほど、精米に時間と手間がかかっているということです。

また小さく磨かれた米はとても繊細なので、精米だけでなくすべての工程で時間と手間をかけて細心の注意を払いながら扱われます。

大切な原料米を長い時間をかけて丁寧に磨き、低温でじっくりと造られる「大吟醸」は、酒造りに対するメーカーのこだわりや想いが凝縮されたお酒といえます。

「大吟醸」は香りがフルーティで爽やか。味わいはやや甘口で、後味はすっきり淡麗なことが多く、飲みやすくて初心者にもぴったりです。お酒によってパイナップル、白桃、メロン、りんご、バナナなどの果物を思わせるみずみずしい香りがします。じっくり集中して飲むために、日本酒単体で飲むのも良し、主張が強すぎないので食事に合わせても良し。贈り物にも喜ばれ、どんな場面でも重宝するでしょう。

コンビニやスーパーマーケットでも探しやすいのでおすすめ
「高級酒」というイメージもありますが、近ごろでは専門店や百貨店以外にも、コンビニやスーパーマーケットでも「大吟醸」を見つけることができます。企業努力によって手頃な価格で購入できる「大吟醸」もあるのでご安心ください。パッケージ表面や裏面の商品情報欄に、「大吟醸」と書かれたものを選んでみてくださいね。

「大吟醸」の大きな特徴である華やかな香りというのは、お酒を発酵させる過程で酵母によってつくられるもので、バナナを思わせる香りとりんごを思わせる香りの2種類が中心となっています。そこにほかの香りが合わさると、バナナとりんごのほかにも、パイナップル、白桃、メロン、ライチなどのような果実を思わせる香りを感じられます。

精米歩合が低いほど、酵母はこれらのフルーティな香りを多く生成するので、精米歩合50%以下の「大吟醸」は、精米歩合の高いお酒に比べて華やかな香りが多くなるのです。

また「大吟醸」に用いられる「吟醸づくり」という製法は、通常より時間をかけてじっくり低温で発酵させます。低温のほうが発酵中に香りが揮発しにくいことから、「大吟醸」は華やかでフルーティな香りをまとっているのです。

はじめて日本酒を楽しむなら、まずは冷やして飲むのがおすすめです。家庭用の冷蔵庫で冷やし、冷蔵庫から出したあと少しだけ室温に戻して(8~12℃ほど)から飲んでみてください。冷やしすぎるとせっかくの華やかな香りや甘い味わいが感じにくくなります。厳密に温度を測る必要はなく、食事の15分前に冷蔵庫から出しておくことなど意識すると、よりおいしく楽しめるでしょう。

日本酒は温度によって味わいが変わり、まったく別のお酒だと感じるほど見違えることも。さまざまな表情を楽しめるのも日本酒の面白さのひとつです。百聞は一見に如かず。冷酒で飲んだあとは、常温、燗酒と温度を変えてチャレンジしてみると良いでしょう。決まりごとはありません。湯煎してもいいですし、レンジでチンしてもいいのです。

冷やして飲むなら、ガラス製のグラスがおすすめです。ワイングラスなど、少し口のすぼまった形状の方が香りを感じ取りやすいでしょう。江戸切子や薩摩切子の酒器も、指先に冷たさを感じながら五感で楽しめるのでおすすめです。味わいがより一層柔らかくなる、錫(すず)製の酒器で飲んでみるのも面白いかもしれません。

「和らぎ水(やわらぎみず)」とは、日本酒を飲みながら飲む水のこと。日本酒を飲む合間に水を飲めば、深酔い・悪酔いしにくくなります。洋酒と一緒にチェイサーを飲む文化があるように、日本酒と一緒に「和らぎ水」を必ず飲んでください。酔いを和らげ健康を維持することで、末永く上手に日本酒と付き合っていきましょう。

開封前は、購入時置いてあった場所を参考にしてください。冷蔵庫の場合は、買って帰ったらすぐ冷蔵庫へ。棚に陳列されていたものは涼しい場所へ。お酒は紫外線を嫌うので、日光や電球の光が当たらない冷暗所での保存が望ましいです。「大吟醸」の華やかな香りは移ろいやすいもの。開封後は冷蔵庫にしまい、2週間程度を目安に飲み切るのがおすすめです。

日本酒にはたくさんの銘柄があり、そのなかでもさらに種類が分かれ「多すぎてよくわからないよ」という方も多いと思います。迷ったときには、今回紹介したポイントを参考にして「大吟醸」をまずは手に取ってみてください。経験を重ねることで、理解できることも増えてくるはずです。

白鶴酒造では、品質管理を徹底し、おいしく、そして安全・安心な商品を提供しています。「白鶴 大吟醸」は日常的に食事と合わせて楽しめる気軽な味わい。また「白鶴 雫花 大吟醸」は、普段果実酒などを好む甘党の方でも親しみがもてる甘口の大吟醸です。いずれもはじめての日本酒として選ぶにはとてもおすすめですので、ぜひお試しください。

【執筆者】
関 友美
日本酒ライター/コラムニスト/きき酒師

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