養殖業者の挑戦が育む絶品「トラフグ」と刺身で美味しい「唐津Qサバ」 養殖業者の挑戦が育む絶品「トラフグ」と刺身で美味しい「唐津Qサバ」

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佐賀県 伊万里

更新日:2024/6/13

伊万里焼で有名な佐賀県伊万里市で、ただ1つの漁港「波多津漁港」。玄海エリアの最奥、伊万里湾が主な漁場です。

伊万里湾でトラフグ養殖 松本一成さん

立派なトラフグと松本さん

伊万里湾でトラフグを養殖している松本一成さん。
家業は鯛とハマチでしたが、30年程前に「トラフグ」に転向しました。

「高校卒業し漁師になって2,3年くらいで、鯛とハマチの値段が安くなってしまいました。そこで単価の高いトラフグの養殖を始めようと思ったんです」

その頃、伊万里湾でトラフグの養殖をしている業者はいなかったそう。

「長崎はトラフグの養殖が有名。1年くらい、週1,2回のペースで長崎まで通って、トラフグを学びました。うちが始めた時は、『フグがこの狭い湾で出来るわけがない』とみんな笑っていたよ(笑)」

トラフグを養殖する生簀

生簀を泳ぐトラフグ

5月にトラフグの稚魚を入れ、1年半かけて育成し翌年11月に出荷。

「フグの体調管理が主な仕事。毎日フグをみながら、今日はあんまり泳がないねとか、自分のほうに寄ってくるときはお腹が減ってるね、とか。自然とフグに愛着が湧いてきますよ。」

3万尾の歯を切る

6月にはフグの歯を切る「歯切り」の作業。尻尾を噛んだり、フグ同士が噛み合いをするのを防ぐためだそうです。

「1尾ずつ、ペンチでパチパチ。歯切りは年に2、3回やります」

松本さんが今年買い入れた稚魚は3万尾!根気がいる作業ですね……。

絶品!トラフグ料理

松本さんが育てたトラフグのお刺身と鍋

そんな苦労も乗り越えた松本さんのトラフグは、姿がきれいで肉質も良いと評判です。8割以上は関西方面へ出荷されていきます。

フグといえばふぐちりや唐揚げが有名ですが、松本さんが好きなフグ料理は意外にも「味噌汁」!

「フグは味噌汁がおいしい。骨ごとブツブツ切ったやつで味噌汁を作るんです。うちの子供たちも好いとーですよ」

フグの出汁が旨味を生む、絶品トラフグの味噌汁

ブランド魚 唐津Qサバの養殖に挑戦

佐賀県唐津市のブランド魚「唐津Qサバ」。
松本さんは8年前にトラフグと並行して唐津Qサバの養殖も始めました。

「唐津Qサバの魅力はなんといっても生食できること。そして、品質が安定していること。養殖業者がエサを統一しているので、ほぼ同じ肉質なんです。シーズン通して脂がのった美味しいサバを提供できます」

ドーンと豪快!唐津Qサバの活き造り

Qサバの活き造り

1尾400グラムもある「唐津Qサバの活き造り」はド迫力です!お味の方は脂ノリ抜群!トロけるような美味しさです。サバのお刺身がこれほどまでに美味しいとは!

関東地方などにお住まいの方は「サバをお刺身で?」と驚かれるかもしれません。実は、九州地方では昔からサバをお刺身で食べる文化があります。居酒屋には、生サバをゴマ風味で合わせた「ゴマサバ」というメニューもあるくらい、当たり前。新鮮なサバが手に入る九州地方ならではの食文化です。

そんな生サバの美味しさを全国へと開発されたのが完全養殖の「唐津Qサバ」。完全養殖とは、唐津Qサバから採卵、受精し、孵化させて成魚にし、その成魚からまた採卵するという「人工ふ化」のサイクルで行われる養殖のこと。さらに、管理されたエサによって、アニサキスを排除しているんです。

サバは繊細!養殖には技術が必要

生簀で元気に泳ぐQサバ

「唐津Qサバの漁場は3カ所あります。うちは佐賀県の中でも一番奥の湾。夏は考えられんくらいの高水温で、冬は低水温。一番過酷な環境なんです。そこに見合った育て方をしていかないといけなくて。慣れるまでに、3、4年かかりました」

養殖を始めた当初は失敗の連続だったそうです。

「サバは扱ったことのない未知の魚でした。サバ自体、弱かとですよね。網ですくって数を数える時も手早くやらないと、すぐ死んでしまう」

新鮮なQサバ

デリケートで養殖が難しい「唐津Qサバ」ですが、やりがいはあります。

「最初は脂がノリすぎているとか言われたりもしましたが、エサの業者さんと脂を減らしたほうがいいとか、魚粉配合をかえてみようとか、いろいろ検討しながら肉質の向上を目指していきました。今ではおいしくなりましたよ。今まで6万匹ほど出荷していますが、アニサキスはゼロです」

出荷にもこだわり、活きたままトラックで運ばれて、料理店や旅館に運ばれます。
地元はもちろん、福岡県にも出荷されているそうです。

「もともとフグ1本でやってきましたが、リスク管理も含めて赤潮に強いと言われるサバを始めました。同じように他の魚にも挑戦していきたいですね」

家業であった鯛、ハマチの養殖から一転、伊万里湾では前例がなかったトラフグ養殖を成功させ、唐津Qサバも軌道に乗せた松本さん。次の挑戦が楽しみです!

公式YouTubeでも佐賀県の魅力を配信中

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今回訪れた漁港へのアクセス

波多津漁港(松本水産)
住所
〒848-0101 佐賀県伊万里市波多津町4014
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