最⾼峰を⽬指した
独⾃開発⽶「⽩鶴錦」
水と並び、良い日本酒をつくるために最も重要な原料の一つが米です。その品質は日本酒の味わいを大きく左右します。
1743年の創業以来、酒をつくり続けきた私たちがより美味しい日本酒をつくるために
白鶴の酒づくりに適したオリジナルの酒米「白鶴錦」を開発しました。
酒米づくり、決断の日
「酒米(さかまい)」または「酒造好適米」と呼ばれる酒づくりに適した米。
その数ある酒米の中で、「酒米の王者」とも称され、最も優れた品種として認知されているのが兵庫県産の山田錦です。
1995年、私たちは「山田錦に勝るとも劣らない酒米を生み出す」という志のもと、新しい酒米の開発に取り組み始めました。その志の根幹には、お客様のもとへ、より良質な日本酒を届けることで日本酒の業界を、ひいては日本酒の「未来」を輝かしいものにしていきたいという強い想いがありました。
王者を超えるために
品種改良は一般的に、優良品種と別の優良品種を掛け合わせることで新たな優良子品種を開発します。しかし、この方法では山田錦を超える子品種を得ることはできませんでした。
そこで、私たちは原点に戻り、山田錦の親品種である山田穂と短稈渡船を掛け合わせることで山田錦を超える酒米を開発するしかないと考えたのです。
白鶴錦 誕生
1995年。私たちは山田錦の母にあたる山田穂と渡船2号(父にあたる短稈渡船は現存せず、類似種である渡船2号を選抜)を交配させ、山田錦を超える酒米を生み出す挑戦を開始しました。
その年の秋、数百系統におよぶ山田錦の兄弟米を収穫。その中から優れた米100系統を選んで栽培し、さらに3年目はより優れた米を選びぬく。この選抜固定の栽培を繰り返すこと8年目の2003年、ついに山田錦にも劣らない品質の米が生まれました。
かつてない新しい酒米の開発を目標に掲げてから9年後の2004年。白鶴酒造が手塩にかけて育て上げた期待の米であることから「白鶴錦(はくつるにしき)」と命名。2007年2月20日、農林水産省で品種登録がめでたく受理されました。
白鶴錦の品質向上に加えて、新たな特性を見いだせるように、研究は今も続いています。また、2012年からは他社への白鶴錦の供給を開始。白鶴錦を通じた業界全体を盛り上げる取り組みも拡大しています。
白鶴錦の足跡
- 1995年
- 山田穂と渡船2号を交配
- 2004年
- 品種名「白鶴錦」として品種登録申請・出願公表
- 2006年
- 兵庫県多可郡多可町で契約栽培を開始
- 2007年
- 2月20日 品種名「白鶴錦」として品種登録受理
- 2012年
- 高木酒造(十四代)に白鶴錦を供給し、他社での醸造を開始
- 2015年
- 「白鶴ファーム株式会社」を設立し、同社で白鶴錦栽培を開始
- 2019年
- 白鶴錦の他社への供給が10社となる
白鶴錦の特徴
- 大粒で心白が大きい
- 雑味の素となるタンパク質や脂質が少ない
- お米を磨く際に割れにくい
- 稲の背丈が低く倒れにくいので栽培が比較的容易