山田錦は日本の酒米の代表として、灘酒とともに育ってきた最良の酒米です。大正12年(1923年)に兵庫県立農業試験場で、山田穂を母とし、短稈渡船を父として人工交配を行って選抜された品種で、昭和11年(1936年)に山田錦と命名されました。その後、幾度か品種改良が行われましたが、現在もなお、酒米の王者として君臨しています。
山田錦は、米粒が大きく光沢のある心白米(米粒の中央部に円形あるいは楕円形の白色不透明部分のあるもの)であるため、はぜ込み(米粒の中心部に麹菌糸が繁殖していく程度)が良く、米を溶かす力の強い麹をつくるのに適しています。また、タンパク質の含有が少ないため、雑味が少なくなるという特長を持っています。
山田錦を使用して造られた日本酒は香味が良く、きめの細かいまろやかさを持った、いわゆる”コク”のある味わいになると言われています。
六甲山の北側の山間部に広がる山田錦の産地は絶好の気候条件を備えています。瀬戸内海式気候のため、温暖で日照時間が長く、降水量は少なめ。それでいて、六甲山系が暖かい空気を遮るので、登熟期の夜温は低く、日較差が10℃を越えるので、稲の実りが良くなります。
微粒の粘土質の土壌は水分や養分の保持力が高く、根が深くまで伸長できるため、作物の生育に適しています。
また、リンやマグネシウムなどを豊富に含むので、粒張りが良く、心白が鮮明になるといわれています。
気候、地形、土壌に恵まれた兵庫県で生まれ、酒米づくりへの情熱と誇りにあふれる生産者の手で育てられた山田錦。
兵庫県は山田錦の生産量が全国生産量の6割強と、圧倒的な量を誇ります。
農産物検査において兵庫県産山田錦の上位等級(特上・特等)の比率は他県を大きく上回ります。
上位等級のメリット
兵庫県産山田錦の農産物検査比較
年産 | 産地 | 等級比率(単位:%) | |||||
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特上 | 特等 | 1等 | 2等 | 3等 | 規格外 | ||
平成27年産 | 兵庫県 | 4.1 | 64.9 | 15.5 | 6.1 | 5.1 | 4.3 |
全国平均 | 2.6 | 43.1 | 31.4 | 12.4 | 6.5 | 4.2 |
年産 | 平成27年産 | ||
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産地 | 兵庫県産 | 全国平均 | |
等級比率(単位:%) | 特上 | 4.1 | 2.6 |
特等 | 64.9 | 43.1 | |
1等 | 15.5 | 31.4 | |
2等 | 6.1 | 12.4 | |
3等 | 5.1 | 6.5 | |
規格外 | 4.3 | 4.2 |
(出典)農林水産省 平成27年産米の農産物検査結果