【冬の新提案】おでんと一緒にあったか「出汁割り」で日本酒を楽しもう!

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執筆:日本酒ライター 関 友美

日本酒は年中楽しむことができますが、やっぱり寒い時期に飲むあったかい日本酒はたまらないですよね。秋から冬にかけてぴったりの、自由な気持ちで気軽に楽しめる「出汁割り」という飲み方をご紹介します。

「出汁割り」とは、日本酒を出汁で割った飲み物のことです。日本酒は世界でも珍しい、単体でどんな温度でも楽しめるお酒。そのまま飲んでもおいしい日本酒を、さらにおいしく飲める「出汁割り」は今、日本酒好きの間で注目されています。

「出汁割り」ブームのきっかけは、東京都赤羽にあるおでん屋さんといわれています。おでんの持ち帰りも可能ですが、イートインが大人気。その場でおでんの具を選び、カップ酒を購入して、スタンディング席で食事ができます。半分だけ飲んだカップ酒を持ってレジでお金を払うと、カップになみなみとおでんの出汁を入れてくれ、日本酒の「出汁割り」を楽しむことができるのです。

おでんのお供に燗酒を飲む、というスタイルではなく、直接合わせてしまうという斬新さが評判を呼び、口コミで話題になりました。今ではメニューに取り入れる飲食店も出てきて、自宅でオリジナル出汁割りを楽しんでいる人もいます。

人間の味覚には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味という「五味(ごみ)」があります。舌にある味蕾から味覚神経を伝って脳で認識されますが、この五味の調和(バランス)によって、人は「おいしい」と感じることができるのです。日本酒には甘味、酸味、苦味、そして大変多くの旨味成分が含まれていると言われています。

一方、日本人が親しんできた出汁にも、うま味成分が含まれています。かつお節、煮干し、イワシ、あごなどは、イノシン酸が多く含まれる動物性の出汁。椎茸、昆布などは、グルタミン酸とグアニル酸を多く含む植物性の出汁です。

日本酒と出汁を合わせることで「うま味」はさらに引き立ち、心が満たされ幸福感を感じられます。

「出汁3:日本酒1」をおすすめします。お酒を入れすぎると、出汁の良さが消えてしまうのでどちらも生かすちょうど良い比率です。「出汁割り」ブームのきっかけとなったおでん屋さんでは1:1なので、お酒好きの人は味を見ながら調整すると良いかもしれません。

温かいほうが、甘みやうま味を感じやすいので「出汁割り」は熱々をいただきたいものです。
日本酒を燗酒にするには、瓶からマグカップに移して温めても良いでしょう。本格派を目指す方は、鍋に湯を張って徳利やチロリに日本酒を入れ、湯煎してみてください。カップ酒ならレンジも湯煎も、直接できるので便利でしょう。

おいしいとわかれば、さっそく試してみるしかありません。手の込んだ料理をしなくても、コンビニやスーパーマーケットで揃うものでも気軽に挑戦できます。

おでん出汁×日本酒
「出汁割り」ブームのきっかけになったおでん屋さんのように、ご自宅でおでんをつくったときは試してみてください。コンビニで購入したら、汁を多めに入れてもらうと良いでしょう。七味や一味、柚子胡椒を加えてもおいしいです。

インスタントお吸い物×日本酒
即席のお吸い物を濃い目につくり、日本酒を注ぎます。具材が足りないときは、乾燥ネギや麩を足すと満足感がアップします。

鍋×日本酒
寄せ鍋、鶏鍋、すき焼、キムチチゲ、もつ鍋、ちゃんこ、豆乳鍋など、あらゆる鍋と一緒に出汁割りが楽しめます。「このお鍋と合うかな?」と迷ったら、調味料として日本酒を入れてもよさそうかどうかで判断してみてください。ただし、チーズなどは分離してしまう場合があるのでご注意ください。

鯛のスープ×日本酒
鯛でとった出汁で出汁割りすると、おいしすぎて二度と忘れることができません。真鯛の身は高価なので煮込む勇気がないかもしれませんが、尾頭だけ安く売っていることもあるので、まめに灰汁をとりながら煮込んで試してみてください。身をほぐして出汁割りに入れるとより味わいが増しますし、白髪ねぎを添えてもおいしいです。

そばつゆ×日本酒
昆布や鰹節と醤油からつくられたそばつゆは、おでんの出汁同様「出汁割り」によく合います。出汁割りにそばをつけて食べる、というワンランク上の通好みな楽しみ方もアリでしょう。わさび、ねぎ、七味や天かすを加えてもおいしいです。

「出汁割り」に向いているのは、華やかなタイプよりも香りが控えめで、しっかりとしたうま味や味わいを含む日本酒です。またコンビニやスーパーマーケットで、食材と一緒に手に入る手軽さも重要でしょう。おすすめの銘柄をいくつかご紹介します。

白鶴 まる
うま味と甘さを含んだ白鶴酒造の顔ともいえる「まる」は、まさに「出汁割り」にぴったりのお酒と言えるでしょう。どんな出汁割りにもおすすめですが、特に「鍋×日本酒」と相性が良いでしょう。鍋にはさまざまな味、種類があるのでどのお酒にしようか迷ってしまいますが「白鶴 まる」なら、あらゆる出汁とも調和して万能なので、悩みを解決してくれます。

上撰 白鶴 サケカップ
「出汁割り」にうってつけのカップ酒です。うま味もありながら、すっきりとした味わいなのでどんな出汁にもよく合います。レンジで温めることもでき、そのまま湯煎できて、コップ代わりになる点もうれしいポイントです。本場さながら「おでん出汁×日本酒」であわせて、半分か3分の2はお酒だけで楽しんだあとに出汁を加えてみてください。

特撰 白鶴 特別純米酒 山田錦
こだわり派の方にはこのお酒がおすすめです。全国に数多くある酒米のなかでも、酒米の王様と呼ばれる「山田錦」。その最高峰と言われる兵庫県産だけを100%使用しています。ちょっと贅沢な「鯛のスープ×日本酒」出汁割りが特におすすめです。

寒い季節に温かい室内で味わう鍋やおでんは、私たちの心と身体をホッと落ち着けてくれます。その機会に、「出汁割り」をぜひお試しください。「これが正解」というやり方はありません。自由に楽しむのが「出汁割り」の流儀です。

白鶴酒造のお酒は、人間の五感と機械の両方を使った厳しい社内検査をクリアし、安定したおいしいお酒を届けてくれています。なにより身近なお店で購入することができるので、「出汁割り」に挑戦する際は、ぜひ「白鶴」のお酒で楽しんでみてください。

【執筆者】
関 友美
日本酒ライター/コラムニスト/きき酒師

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