秋を感じる日本酒「ひやおろし」の魅力
秋になると日本酒の売場で見かけるようになる「ひやおろし」、これはどのようなお酒なのでしょうか? 今回は「ひやおろし」について特集します。
日本酒には、製造段階で“どの状態で詰められたものなのか”を表し、銘柄とともに日本酒のラベルへ加えられることがあります。「ひやおろし」もそういった言葉の一つです。では、「ひやおろし」とはどのようなお酒なのでしょうか?
「ひやおろし」の語源は「冷や(ひや)」のまま「卸す(おろす)」こと
一般的に日本酒は冬に醸造されて搾った後、劣化を防ぐために二度の「火入れ」と呼ばれる加熱処理を行います。一度目の「火入れ」は日本酒を搾ったすぐ後に、二度目の「火入れ」は日本酒を出荷する直前に行います。「ひやおろし」とは、冬に搾った新酒を貯蔵前に一度だけ「火入れ」し、蔵の中でひと夏熟成させ、旨味が乗った頃合いで二度目の「火入れ」をせずに生詰めしたお酒です。
日本酒の温度で“常温”の意味を指す「冷や(ひや)」の状態で「卸す(おろす)」ことから、その呼び名が付いたそうです。
ひと夏寝かして、円熟した味わいに
「ひやおろし」の特長は蔵の中でひと夏熟成させること。約半年間の熟成によって、香りが整い、味わいの角が取れて円熟した味わいになります。
2020年8月17日に地理的表示「GI灘五郷」に新たに「ひやおろし」の定義が追加されました。
「GI灘五郷 ひやおろし」は以下のように定義されています。
・その酒造年度(7月1日から翌年6月30日の1年間をいう)に醸造した清酒のうち4月30日までに火入れし、貯蔵したものです。
・加熱処理することなく詰められ、GI灘五郷の生産基準を満たす清酒であって、「官能評価実施細則」に定める「ひやおろしに係る官能評価基準」に適合したものについて、地理的表示(GI)「灘五郷」商品として認定されます。
「GI灘五郷 ひやおろし」は9月1日が解禁日と制定されました。
円熟したまろやかな味わいが楽しめる「ひやおろし」は秋季限定商品になります。年に一度しか味わえない秋のお酒をお楽しみください。
白鶴のひやおろし商品は、「特撰 白鶴 本醸造 山田錦 ひやおろし」。
「GI灘五郷 ひやおろし」に認定された本商品は、兵庫県産山田錦を100%使用した本醸造酒。
円熟したまろやかな口当たりと、軽やかなコクが特長です。おすすめの飲み方は、ぬる燗(40℃前後)。少し温めることで、山田錦由来のお米の旨味がさらに引き出されます。
秋の味覚とおすすめペアリング
「ひやおろし」は、旨味のある秋の食材と非常に相性がよく、さんま、きのこ、鮭、カツオなどと美味しく楽しめます。特にさんまは秋の味覚の代表格とも言える食材。さんまの塩焼きと一緒に、兵庫県産山田錦を100%使用したひやおろしで秋の晩酌はいかがでしょうか。