日本酒の老舗が挑む、神戸発クラフトジン 白鶴酒造の新たな取り組み
灘五郷の日本酒メーカー白鶴酒造が、新たに挑戦しているのが神戸発のクラフトジンの開発です。その第一弾が「KOBE HERBAL GIN 白風」です。日本酒造りで培った酒質設計やブレンド技術、味わいの評価能力を活かしながら、神戸の風土や地域性を香りで表現する新しい取り組みです。
1.白鶴酒造が造るクラフトジン「白風(しらかぜ)」
ジンは、ジュニパーベリーという植物原料を使用する条件はあるものの、その他の原料(ボタニカル)の自由度が高く、製造所の個性や造り手の想いを表現しやすい蒸溜酒です。白鶴酒造は、創業1743年から神戸に拠点を置く日本酒メーカーです。地元・神戸の風景や風土を感じてもらえるよう開発したジンが「KOBE HERBAL GIN 白風」です。
「白風(しらかぜ)」という名前には、白鶴のジンを通じて“神戸の風”を感じてほしいという想いが込められています。第一弾商品は、神戸の象徴である六甲山に着想を得て開発しました。ボタニカルは、白鶴酒造のルーツである神戸の地が育んだ神戸市産の農作物素材(ジュニパーベリーを除く)から厳選しました。さらに、味わいが異なる2種類(#01, #02)を仕込み、#01は甘くなめらかで落ち着いた味わい、#02は爽やかで軽くバランスの良い味わい、ジンの味わいの多彩さに驚きを感じてもらえる商品に仕上げました。
2.日本酒造りの技術を活かした香味設計
白鶴酒造には、長年の経験から日本酒「醸造」の技術蓄積があるものの、ジンの「蒸溜」は初挑戦でした。そのため、文献調査、蒸溜酒メーカーへの開発手法の情報収集といった、ゼロからの開発が始まりました。ハーブやスパイスについてもノウハウがなかったので、様々なボタニカルを用いて試作を繰り返し、商品コンセプトを体現できるボタニカルを選定しました。#01は神戸市産のイチゴ、ミント、カモミール、#02は神戸市産の青紫蘇、赤紫蘇、バジルを使用しています。
さらに、ボタニカルごとに最適な蒸溜条件が異なるため素材を分けて蒸溜し、完成した原酒をブレンドする方法を採用しました。白鶴酒造の代表的な日本酒「まる」もブレンド技術によって味わいのまとまりや調和を実現しています。原酒の構成比率が数%でも変わると味わいが大きく変化するため、繊細なブレンド技術が求められます。そんな長年の日本酒造りで培ってきた酒質評価とブレンド技術といった白鶴酒造の強みを活かしたジンは、日本酒にも通じる「優しい甘味」「なめらかさ」「調和」のある味わいとなりました。
また完成した試作品について、神戸のバーテンダーや蒸溜酒メーカーの方々からは「日本酒メーカーならではの新感覚のジン」という評価をいただき、白鶴酒造らしさのある納得できる酒質設計とすることができました。
こうした香味設計は国内外のコンペティションでも評価を受けることができました。IWSC2025※1では#02が銀賞、#01が銅賞、TWSC2026※2では#02が金賞、#01が銅賞を受賞しています。
※1 IWSC:イギリスで開催される世界三大酒類コンペティションの一つ
※2 TWSC:日本で開催されるアジア最大規模、国内唯一の蒸溜酒コンペティション
「白風」で表現する神戸の魅力を全国へ
「KOBE HERBAL GIN 白風」は、発売開始当初は直営店や関西エリア限定での販売でしたが、コンペティションの受賞実績やお客様からの反響を受けて全国販売となりました。いつもの一杯に少し特別な香りを添えたいときに、自宅にいながら神戸を旅するような気分を楽しめる、日本酒造りの技術と感性から生まれた白鶴酒造ならではの新しい味わいのクラフトジンです。
#01、 #02は、神戸の自然を表現しましたが、まだ魅力的な風景や風土が神戸には多くあります。今後も白鶴酒造は新たなジン開発にも挑戦を続けます。

