仕込み 二ヶ月にもおよぶ、長い対話。その内面は、最後の飛翔に向け、静かに高まっていく。

仕込みは、添・仲・留と三段階。
温度と状貌 じょうぼうを見極めながら、
仕込みを重ねていき、
もろみがつくられます。
五十日近く発酵が続く間、
その発酵熱によって徐々に上昇していく温度を
徹底した緻密さをもって低温管理します。

つくり手の仕事は、温度計を凝視する
ばかりではありません。
発酵の進捗にともない変化する泡の表情から、
醪の報せを汲み取っていくのです。
そして玉泡といわれるシャボン玉状の
泡が消えると、つくり手は
大きく息をつくといいます。
酒づくりが迎える佳境に備えて。