仕込みは、添・仲・留と三段階。 温度と状貌(じょうぼう)を見極めながら、 仕込みを重ねていき、醪(もろみ)がつくられます。 五十日近く発酵が続く間、 その発酵熱によって徐々に上昇していく温度を 徹底した緻密さをもって低温管理します。
つくり手の仕事は、温度計を凝視する ばかりではありません。 発酵の進捗にともない変化する泡の表情から、 醪の報せを汲み取っていくのです。 そして玉泡といわれるシャボン玉状の 泡が消えると、つくり手は 大きく息をつくといいます。 酒づくりが迎える佳境に備えて。